この9月より大学で教えています。若い人たちと接する良い機会で、多くの事を学んでいます。若い人たちの記した文章の一節に、彼らならではの柔らかな感性を感じる時、とても幸せな気分になります。

私が教えているのは、ドキュメンタリーを通して移民体験を学んでもらうコースです。内容も大切ですが、自ら課題を設定すること、自ら学ぶことを身につけてもらうために、グループワークを取り入れ、宿題を毎週出して、慣れていってもらっています。また、多様性を重視し、互いの意見をわかちあうスタイルで進めています。

ところが、これがなかなかチャレンジングです。大学3年生、4年生でも、要約する、論旨を持った文章を書く、クラス全体に発言する、議論をするといったことが、苦手な人が多いのです。もっと早い時期に身につけておくべきスキルなのに、日本の学校では相変わらず重視されていないのでしょうか。誠に残念です。

現代社会において、自ら課題を設定したり、表現したり、意見を交わしたり、議論したりすることは、最低限の社会的スキルです。最近、TED等がテレビで放送され、プレゼンテーションが注目されています。そういうところから、論理的に物事を考えたり、批判的に捉えたり、議論したりと言ったことの重要さがより広く認識されればいいのですが。自分の頭で考えることができ、互いに議論できる市民が一人でも増えることが、社会を風通しよく、より良いものにしていくのではないでしょうか。

学期の最後に、少しでも学生たちにそういったスキルが身につくよう、彼らを叱咤激励しつつ、あれこれの手を考え、工夫しつつ、1月まで彼らと共に進んでいくつもりです。