前作の『ルッキング・フォー・フミコ』の上映が先の土曜日に大阪大学の懐徳堂で行なわれました。女性のキャリアに関する集まりでの上映で、私の話、パネルディスカッションもあり、参加させていただきました。本当に久しぶりに前作を見る機会で、どきどきしていました。
学生さんや就職してまだ一年たたないというピカピカの社会人、大学職員の方、大学の先生たち、また、一般の観客も含めて、60人以上の方が集まりました。ブラックボックス型の気取らないスペースです。パネルでは、武田佐知子副学長がご自分のパーソナルな体験をユーモアたっぷりに話され、場が和らぎました。交流会も、お隣の真っ白なスタジオスペースで行なわれ、なかなか素敵な集まりになりました。
育児、お年寄りの介護、仕事などをこなして、日々の大変さを語られる方、とにかく親などあらゆるリソースを活用して対応している方、仕事を続けたいなら、色恋ではなく、自分をサポートしてくれる人を選びましょうというとても現実的な先輩のアドバイスまで、いろいろな意見が飛び出しました。また、ウーマン・リブという言葉すら知らなかったという若い方までいらっしゃり、語り継ぐ事の大切さを指摘してくださる先生もいらっしゃいました。
私自身としては、恥ずかしながら、結構いい作品だなと思えたのがうれしかったです。作品中、よくぞと思うほど、いろいろ厳しい質問をしていて、当時冷や冷やしながら、皆さんに尋ねたことを思い出しました。本当に皆さん、普通なら無礼だと思われるような質問に真摯に答え、真意を明らかにしてくださった、そしてよくぞ撮影に協力してくださったと、改めて心から感謝する次第です。
今回、ウーマン・リブという言葉も知らない若い女性が、「衝撃を受けた」と言ってくださいました。「女性たちがこんなに情熱的でアクティブだったとは。」また、「今、進路を考えているが、参考になった」という声も。そして、「今、私たちがここにいるのは、彼女たちのおかげである」という言葉が若い女性たちの口から素直に出てきました。
作った後、相当くたびれたプロジェクトでしたが、こうして世代を何代も越えて、こんな風に女性たちの営みを伝えられる作品であることがわかり、とても幸せに感じています。また、この作品を改めて若い人たちに見てもらえるように、こちらも努力しなくてはと思っています。
そして、今は亡き大和史子さんと友達になることができた幸せをかみしめています。
紺野さんご自身は、やはり日本への気持ちも強く持っておられます。しかし、子供さんたちが住んでおられるブラジルに骨を埋めるつもりでいらっしゃいます。
迷いがないのは、様々な困難を乗り越えて生き抜いてきて、自分の人生に思い残すところはないという境地に至っていらっしゃるからではないかと思っています。
それに、世界という大きな文脈で見た場合には、何人かということもそんなにたいしたことではないと言っておられるように思います。昔、日本の中で薩摩だの長州だのの国とか言っていたけれど、今はもうひとつの国になってしまっていますし、いつか世界もそんな風になるのではないかというのが紺野さんの意見です。
前作とずいぶん受ける感じは違うかもしれません。でも、共通するテーマはあると思っています。