大学で1学期にわたり、「移民の世紀とわたしたち」という授業を行ないました。すでに移民について関心の高い学生もいましたが、知らないという学生の方が多数でした。そこで、コースが始まって早々、『ブラジルから来たおじいちゃん』を学生たちにまず見てもらいました。

『ブラジルから来たおじいちゃん』のスタディ・ガイドのエッセイを宿題で読んでもらい、簡単に背景的知識を得てからの、映画鑑賞です。コースが始まったばかりで、まだまだおとなしい学生たちでしたが、映画を見た後、ブラジル移民に関して様々な質問が出ました。第二次大戦中、ブラジルは連合国側となり、枢軸国の日本とは敵味方となってしまったが、戦争中は日本からの移民たちはどうしていたのか、日本語を教えてはいけない、日本語の新聞も出してはいけない、日本人だけで集まってはいけない等の法律ができたが、それは日本人だけに対してだったのかなどなど。なかなか興味深い質問です。宿題でそれぞれに感想文も書いてもらいました。

最初に見てもらったのは、映画を導入部にして、日本も元は移民送り出し国だったということを学び、移民を自分の課題として捉えてもらおうという狙いのもとでした。

今回の学生たちの中には、外国にルーツをもつ人たちもいて、彼らが自らの体験を含めて積極的に発言してくれて、授業が大いに活気づきました。その体験談から私も多くを学びました。また、移民に懐疑的な学生もいて、その存在も刺激的でした。わいわいがやがやの授業になり、様々な意見や視点が飛び交い、充実した学びの時となりました。

今年もまたこのコースを教える事になったので、いろいろ改善して、さらに良いコースにしようと、振返っているところです。