シニアの底力

昨日は、「ブラジルから来たおじいちゃん」を支援してくれている若い才能をご紹介しましたが、今日は、シニアの底力について。

今回のサンパウロでの上映でお世話になったのが、佐倉輝彦さんと小笠原公衛さん(山梨の上映会の項目でもご紹介しましたが)です。

佐倉さんは、昨年、ワーク・イン・プログレスを日系人大会の分科会で上映した時にお世話になりました。そのご縁で、今回の文協での上映会を始め、サンパウロの他の3回の上映会についても、主催者との連絡や広報等、大変お世話になりました。佐倉さんは、サンパウロの国外就労者情報援護センターの専務理事として、毎日、お忙しいのに、上映に関する諸々をどしどし進めてくださいました。

決していばったりすることなく、さらさらと仕事をこなして、サポートしてくださる佐倉さんなしには、到底、今回の上映会は実現できませんでした。

小笠原さんは、すでにこの7月に帰国されましたが、ブラジル日本移民資料館で資料の整理や写真展の企画をしておられました。小笠原さんにも昨年初めてお目にかかり、以来、アドバイスをいただいたり、励ましていただいてきました。

お二人とも、自由で、とても楽しい方々。こんなにさわやかなおじさまたちが日本にいたとは! ますますお元気で、どしどし底力を見せていただきたいところです。


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才能ある若い人たち

「ブラジルから来たおじいちゃん」は才能ある若い人たちが協力してくれて、完成しました。紺野さんの無垢なところが、若い人の感性と響き合った気がします。

ここのところ彼らの作品が、あちこちで上映、展示されています。

音楽の道下和彦さんは、知る人ぞ知るジャズ・ギター奏者。音楽コンサルタントの稲岡邦弥さんは、今、ぴか一なのは、道下さんと太鼓判です。初めてスタジオでお目にかかり、音を出した途端にもうぴったりで、本当に驚きました。全身で感じて、音を作っているのがこちらにも伝わりました。ライブにぜひ行ってみたいと思っています。

それぞれのご案内は、こちらです。編集の斉藤貴志さんの映画「天狗の葉」がぴあフィルムフェスティバルで上映されました。10月から全国を回ります。子供たちが本当にすばらしい。斉藤さんの演出のすばらしさを感じます。

http://www.pia.co.jp/pff/festival/30th/lineup/index.html

ポルトガル語字幕を担当してくれたロベルト・マクスウェルさんの映画「デカセギ」がショート・ショート・フェスティバルで上映されました。大阪のHEP HALLで8月20日、22日、23日に上映されます。

デカセギの若者の生活のリアリティを捉えた作品です。音がすごく上手に使われています。

http://www.shortshorts.org/2008/ja/brazil-ab.html

ちらしをデザインしてくれた蛇谷りえさんが8月2日から8月10日まで岡山県の犬島の犬島時間というアート・プロジェクトに参加します。

http://blue-works.jp/inujima/index.html

音楽の道下和彦さんのライブ・スケジュール

http://ical.mac.com/WebObjects/iCal.woa/wa/default?d=3&u=wapikodon&v=1&y=2008&m=7&n=Kazuhiko%20Michishita%27s%20Live%20Schedule.ics


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サンパウロ その7 郊外の日本レストラン

日系人が多数住んできたリベルダージという地域に、日本のお店が集まっています。レストラン、食品店、お土産屋さんなどなど。しかし、今では、日系人の多くが郊外に移り、中国や韓国系のお店が増えました。日本レストランは日系人の多い郊外に移っています。

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4世代ランチ。サケピリニャの後で撮った写真です

紺野さんの末娘のネリーさんが、そんなサウジ地区の日本レストランに招待してくれました。日曜日の昼だったのですが、日系の家族でいっぱい。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、お孫さんの3世代で来ている人たちが圧倒的。お父さんかお母さんのどちらかが日系でない人が多く見られました。店構えがきちんとしていて、係の人が車を駐車してくれるバレー・サービスもあり、メニューの値段も安いとは言えないので、ここに来ている人たちは、中流以上の人のようです。

私たちは、紺野さんを筆頭に、ひ孫のララちゃんを含めて、4世代ランチ。焼き魚、天ぷら、すしなどなど、どれもこれも一人前の量がとても多いです。私は、風邪ひきで寒かったので(あちらは冬。気温も朝など7度とか10度)、天ぷらうどんを食べました!

紺野さんを除いた男性陣が赤い飲み物を飲んでいて、私にもすすめてくれました。なんと日本酒で作ったイチゴ入りのカイピリニャでした。元々のカイピリニャはピンガという砂糖黍のアルコール度の高い焼酎で作りますが、これはお酒なので柔らかく、ジュースみたいで、つつーっと喉を通っていきました。


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サンパウロ その6 読書

中庭の方からそっと紺野さんの部屋を覗いてみると、よくこんな姿が見られます。

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一心に読書をしていて、私が覗いているなんて、全然気がつきません。移民の歴史やら、穀物の値段がどう決まるのか、アグリビジネスなどについて、読んでいらっしゃることが多いみたいです。

穀物の仲買を一番長く仕事にしていた紺野さんは、経済に深い関心があります。なんの裏付けもないお金をどんどん刷って、この先どうなるのかというのが、中でも一番の関心事のようです。


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サンパウロ その5 フェイラ(市)

ブラジルではこの曜日にはここの通りといった具合に、あちこちで市がたちます。野菜、果物、お肉、お魚から金物まで、たいがいのものは手に入ります。値段はスーパーと比べて特に安いわけではないようですが、生産者が直接売りにくるのでとても新鮮。

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八百屋さんは必ずと言っていいほど、日系人が店を構えていて、大根だのおなすなど、いかにも日本の野菜といったものも含めて、野菜をいろいろ売っています。サウジという地区にたつ市には、いなり寿司だの羊羹といった日本食品を専門にしているお店もあります。この辺りは、日系人が多いのです。

買い物に疲れると、フェイラのど真ん中か一番端に必ずある、パステス屋さん(こちらも日系人が多い)と、そのまた隣に必ず出るカルド・ジ・カナ(砂糖黍ジュース)屋さんへ。まず、パステスを注文して、揚げている間に隣に行って、ジュースを注文します。で、腰掛けに座って、むしゃむしゃ、ごくごくと言う訳です。この砂糖黍ジュースが本当においしい。冷たくて、ほんと自然の甘さです。だって、砂糖黍を目の前で絞ってくれるんですから。

京都にあるパステス屋さんに、どうしてカルド・ジ・カナはないの? と尋ねると、砂糖黍は痛みやすいので、採算が取れないそうなのです。残念。

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日系のパステス屋さん
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目の前でジュースができてくる。ほんと新鮮
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バイア出身らしき女性のハーブ屋さん。
ヨーロッパだけでなく、むしろアフリカや
ネイティブ起源の薬草文化が豊かなブラジルです。

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紺野さんの憂慮

紺野さんがなぜ子供の教育にそんなに関心を持つのか。それは、ブラジルで高い教育を受ける事ができなくて、デカセギに来た人たちの、その子供たちが、また、高等教育を受けられなければ、永遠に社会の下積みの層になると憂慮するからです。

日本でも、ワーキングプア問題がクローズアップされています。親が子供の教育に十分な投資ができないと、その子供たちもまたそこにとどまることになり、階層が固定される危険が指摘されています。

ブラジル人の場合、不登校で学校に行かなければ、言語も十分に習得できないなど、日本ではさらに不利な状況にあると言えます。

そんなわけで、紺野さんは子供たちの教育に大きな関心を持っているのです。


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