今、ニューヨークに来ています。インデペンデント映像のインフラに関するリサーチを行っています。ヨーロッパに比べると、支援体制が弱いと聞きますが、それでも、日本とは比べものにならない充実ぶりです。日本での支援体制が限りなくゼロに近いことがわかります。以前、地方自治体の人の前で、日本の自主制作映像に対する支援体制は旧石器時代であると言って、驚かれたことがありますが、でも、それが事実です。

2009年に東京でのメディア・フェスティバルで、マーク・ワイスさんが公共放送でのインデペンデント・ドキュメンタリーのシリーズ、POVをどのように可能にしたかを話されたときにも、感じたことですが、映像の作り手自身が、また、市民自身が、インデペンデント映像の重要性を社会に発信し、活動していくことの必要性を改めて感じています。

旧石器時代だと嘆いてばかりいてもしようがない。先日、インタビューした日本の状況を知っているウィメン・メーク・ムーヴィーズのディレクター、デボラ・ジンマーマンさんは「それを変えるには、作り手自身がまず声をあげること」と語っています。500作品以上のドキュメンタリー中心に女性の作品ばかりを配給し、年予算1億3千万円のNPOを運営する彼女は、女性のインデペンデント映像を30年もの間、ずっと支援し続けてきた人です。

彼らは、自主制作映像が社会に多様な声を届け、主流メディアで取り上げられない問題を提示し、民主社会にとって必要欠くべからざる、情報と議論へのきっかけを提供すると考えています。

そのこと事体を知らせるのも、まずは映像の作り手からです。コミュニティ・メディア等の人たちの動きも活発になっている現在、映像の作り手たちもそこにつながり、ともに、日本における真にパブリックなメディアの姿を描き、実現していければと思います。

ウィメン・メーク・ムーヴィーズについては、自主制作映像のインフラについて連載中の『シネマ・ジャーナル』No.81 2011年春号、54ページに書きましたので、そちらをご参考になさってください。

http://www.cinemajournal.net/cj/newcj.html