国立民族学博物館の中牧弘允先生が同館の「研究者と話そう」というプログラムで、「カーニバルでつながるブラジルと日本」というテーマでお話をなさるので、聞きに行ってきました。中牧先生は、『ブラジルから来たおじいちゃん』のドキュメンタリーを製作中から応援してくださっています。
元々黒人たちが始めたサンバのカーニヴァルが1920年代から1930年代にかけて、ブラジルの国民文化の象徴に格上げされ、ついには移民たち少数派がそれに参加することが主流社会に統合されていることを示す貴重な機会となっていったという、とても興味深いお話でした。
ブラジルの日系人たちもサンパウロでカーニヴァルに参加したり、日本からの移民の記念の年には日系ではないブラジル人のグループが日系人をテーマとしたカーニヴァルの演し物を演じたりしてきました。ブラジルらしく自由で幻想的に日本を表した演し物が、日系人の主流社会への統合を目に鮮やかに表現していたことが印象的でした。
また、ブラジルは、国家のアイデンティティを築く際に、混ざる事を良しとしない米国などのアングロサクソンに対して、混ざっていることに価値を置いた。ブラジル人は白人、黒人、先住民の三人種が混血しているので、最も優秀であるという言説が、国民的アイデンティティの根本にあるとのことでした。なるほど、ブラジルでそのような言説に接して、日本のとは正反対だと驚いたことがありましたが、それがどこから来たかということがよくわかりました。
また、日本でも日系ブラジル人たちがカーナヴァルをあちこちで開いており、そのことについても触れられました。
関連の論文なども教えていただいたので、ぜひそちらも読んでみようと思います。