21日から京都シネマでの劇場公開が始まりました。初日は、舞台挨拶。昨日は、関西ブラジル人コミュニティの松原マリナさん、京都産業大学の鬼塚先生をお招きしてのパネルディスカッションがあり、本当にたくさんの方にお出でいただきました。また、初日は、上映の後、愛知県犬山市での上映会があり、そちらにもかけつけました。

犬山はペルー出身の人たちが多数住む市で、上映会の後の質疑応答も、ブラジル人の相談員の大島さんがスペイン語で通訳してくださるという状況になりました。別の会場では、バザーが開かれ、各地の食べ物を売る人たちもいて、とてもにぎやかです。スペイン語の落語もあって、私も大笑いしました。市の方、国際交流協会の方、外国人国際交流員の方、皆さんの息がとても合い、ポジティブなエネルギーにあふれていました。「厳しい状況の中、普段は暗い表情を見る事が多くなってしまったけれど、今日は、皆さん、明るい顔を見られた」とスタッフの方がおっしゃっていました。

国は外国人の子供たちを義務教育の対象にしていないけれど、犬山では外国人の子供たちにも全員学校に来てもらうような取り組みをしようと気運が盛り上がっているそうです。犬山の現場の人たちの前向きな言葉に元気をいただきました。

京都でのパネルの日には、日本に来ているブラジル人労働者の社会学的分析のようなものが入っていない、リサーチをしたのですかとというような指摘をした観客の方がいました。その時にも、お答えしたのですが、社会問題を提起することがこの作品の主眼ではないということです。実際映像の中には、日本の負の歴史の証言、現在の社会問題の指摘などもあります。しかし、一番私が表したかったことは、常に人間は世の中の流れに翻弄され、社会的不公正も多数存在してきた。でも、大多数の人間は、主人公の紺野さんのように、それを現実として乗り越えて、なおかつ次の世代により幸せになってもらいたいと懸命に生きてきたという尊い事実です。そういう先人に感謝したいという思いで作ってきました。

だから、紺野さんの姿が多くの人の心を動かし、日本に住むブラジル人の背景への理解や共感を促すことができていると思います。

松原マリナさんがブラジル人当事者の立場から現状への熱い思いを語ってくださり、会場の皆さんにもひしひしとそれが伝わったと思います。ひとりひとりが自分の問題としとらえて、いったい私は、私たちは、どういう社会で生きたいのか、どういう未来を次の世代に手渡したいのかということを改めて考え、行動していく機会になればと思います。

 

この記事へのコメント
栗原さん。はじめまして。
どこにメールをしたらいいのかわからずに、ここのコメントにさせていただきます。
ごめんなさい。

私は、今サンパウロにいる学生です。
京都外国語大学でポルトガル語を勉強し、今、念願の留学生活をブラジルで送っています!!

私は、留学前に京都シネマさんと同じ3階のSARAというブッフェでアルバイトをしていたこともあり「ブラジルからきたおじいちゃん」の公開をめっちゃ楽しみにしていたのですが、京都シネマさんで公開される前にサンパウロにやってきてしまいました。

京都シネマのスタッフさんと休憩所が同じなので、私が出発する前に公開してーと頼んでいたのですが…。

8月に日本に帰るのですが、私が「ブラジルからきたおじいちゃん」紺野さんの姿を見ることはできるのでしょうか??

栗原さんのこのサイトをみるだけで胸がわくわくしました。
ぜひこの作品をみたいです!!

ご多忙でいらっしゃると思いますが、もしよろしければxxxxxx@xxxxxに返事ください。

則政友紀

Posted by 則政友紀(のりまさゆき) at 2009年03月24日 04:00
わあ、うらやましい! サンパウロで留学生活ですか。

楽しみにしてくださっていたのですね。ぜひご覧いただきたいです。メイルアドレスに上映会の情報等、お知らせします。

がんばって勉強してくださいね。

Posted by 栗原奈名子 at 2009年03月24日 16:32