オバマ大統領の就任式をテレビとインターネットで見ました。アメリカに黒人の大統領が生まれたことに深い感慨を抱きました。

アメリカの友人たちは、みな公民権運動の記憶をみんな強く持っていてるように、事あるごとに感じていました。それは、人種や性差、階級などなど、あらゆる違いを越えた、他者への共感、共生の精神です。数年前にサンフランシスコで、ある行進に参加した時に、白人の若者たちが年配の人と公民権運動時の歌を一緒に歌っているのを目にして、こんな風に精神が受け継がれているのかと目から鱗が落ちました。今回の選挙でも、20代の若者たちが、オバマ当選への大きな力になりました。

時間をかけて、語り継ぎ、システムを変え、人々が着実に変化してきたことの果実が今回実ったのです。

先日、ブラジル人が東京でデモをして、300人ほどが集まりました。その中で、音楽家のベトさんが「Direta Já!」(直接選挙を、今!)というブラジルでの軍事政権時代に人々が選挙を求めて行進した時の言葉を発し、自分たちの遺産を思い起こそうと語ったそうです。

アメリカでもブラジルでも、若者が、多くの先人が文字通り血を流し、犠牲を払って手渡してきた精神をしっかり受け止めています。日本にも、そのような精神や価値があると思います。それを受け止め、伝え、さらに良きものに作り上げていくのは、私たち一人一人です。

紺野さんの言動にも、私たちが語り継ぐべき多くが宿っています。一人でも多くの方に「ブラジルから来たおじいちゃん」をご覧いただけるよう、上映活動にさらに励む決意を新たにしました。

ブラジル人にとっても、日本人にとっても、今、多くのことが問われる1年になりそうです。