30年前、はじめての海外旅行がブラジルでした。そこで、出会ったのが紺野堅一さんです。日本を外から見ている眼差し、戦前からの歴史の流れを見つめるそのスパン、とても新鮮でした。紺野さんは、私の、それまでの世界観を打ち壊し、空間的にも時間軸の上でも世界を広げてくれました。この初めての海外旅行での出会いは、私の脳裏に深く深く刻まれました。でも、まさか30年後に、紺野さんのドキュメンタリーをこんな形で作って、上映する事になるとは、思ってもみませんでした。

紺野さんの存在が私の心にいつもあったから、今、ここにこうしてあるような気がしています。多くの人に、紺野さんに出会ってもらいたいと思います。現在のような不安な時代だからこそ、自分の頭で考えて、一歩一歩踏みしめながら、困難を乗り越え、生き抜いてきたその姿が、みんなに勇気と希望を与えてくれると思うのです。