写真家山本リカルドさんから、ポレポレロビーで開催中の写真展”Leaving”にテキストを寄せていただきました。
明日(16日)のトークイベントのゲストに山本リカルドさんをお迎え致します。
どうぞご来場下さい。

出発

栗原奈名子監督のドキュメンタリー映画「ブラジルから来たおじいちゃん」の主人公、紺野さんは、日本を出発し、よりよい人生を求めて、見知らぬ遠い土地への旅に出た。73年たって、彼の故郷に戻っても、そこは全く異なる、見覚えてのないものになってしまっている。
紺野さんと同じように、たくさんのブラジル人が、繁栄の夢を抱き、90年代に自分の国を出発したが、そこで見いだしたことは、自分たちが同じパラドックスの中にいることだ。それは、見知らぬ土地でよそ者として生きるということ。故郷と呼ぶ土地とのつながりを失い、得たものと失ったものの物語を築き上げる。その一方で、自分のアイデンティティを保つためにもがき、いつか彼らの出発が、ついには到着を見いだすだろうという希望を持ち続けるために苦悩している。

山本リカルド

〇山本リカルド
ブラジル人で東京在住のフリーランス・フォトグラファー。1991年に来日したのち、自動車やエレクトロニクスの工場に15年勤める。2001年からブラジル人コミュニティーの生活模様を写真に収めている。
http://www.ricardoyamamoto.com/

〇山本リカルド展開催中
GALLERY BOSSA(谷中)11/5(水)~11/17(月)
台東区谷中6丁目1-27 tel.03-3823-5952
http://www.yanakabossa.jp/gallery.html