今回の東京国際女性映画祭で映画を見て、いろいろなことを考えさせられました。

羽田澄子監督の「ああ、満蒙開拓団」では、敗戦数ヶ月前に満州への移民を国に勧められ、ソ連が攻めて来るので、逃げようとしたその当日に日本からの荷物が到着したと証言している人がいました。ブラジル移民より少し時期は後ですが、同じような時期にブラジルや満州等様々な場所に、貧困に苦しむ人たちが押し出されていったのだと実感できました。

2日目の川喜多かしこさんの生誕百周年記念に上映された「制服の処女」(1931年)は、ドイツの女子寄宿学校で、女学生たちが団結して、抑圧的な学校に反乱するという内容です。

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今年は、川喜多さんの生誕百周年であるとともに、ブラジル移民百周年。紺野さんがブラジルに向けて日本を旅立ったのが1931年、満州事変が起こった年です。また、今話題の「蟹工船」はその2年前1929年に発表されました。その1929年の10月24日にニューヨークのウォール街で株価が大暴落したのがきっかけで世界が大恐慌に陥りました。現在の経済や社会の状況と引き比べると、時代が一巡してきたのではないかという気がしてなりません。

日本は戦後、経済発展して、世界で2番目のお金持ちになったので、先回とは違う形でしょうが、厳しい時期が続くのではないでしょうか。戦争や棄民(以前とは異なる形でのものも含めて)という手段でなく、私たちは困難を乗り越えていけるのでしょうか。アメリカ合衆国をはじめとする先進国がこれまでの消費にまみれたライフスタイルやマネーゲーム的経済のあり方を深く顧みる機会にすることができるのでしょうか。

川喜多さんが日本に輸入した「制服の処女」を見て、どれだけの女性たちが勇気と希望を得たでしょうか。また、羽田さんの作品を見て、当時の日本政府が自国民にすらこのような仕打ちをし、未だに謝罪もしていないことを生々しく知る事ができます。

そして、パニックに陥らず、希望を捨てず、当の時代を自分の頭で考え、足を踏みしめ、生き抜いてきた紺野さんのたんたんとしたあり様、姿は、私たちに生きる力を与えてくれると思います。