物事を批判的に見ることの大切さ

「会長の言うことを聞いたら、馬鹿みたんよ」と『ブラジルから来たおじいちゃん』の主人公の紺野堅一さんが、海外学校の会長が「ブラジルへ行くより朝鮮へ行け」と述べたことについての言葉です。当時、人口過剰で困っていた日本は、誇大宣伝等々でとにかく人々を国外に送り出そうとしていました。別にそれがブラジルであろうと、朝鮮であろうと、その後は満州であろうと、どこへでも。

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福島の原発災害で、初期の頃に原発1号機付近からプルトニウムが検出されたたことが報道されたことがありました。その時に、メルトダウンは起こらず、燃料棒の表面が溶けただけであるというような説明が東電からなされました。しかし、これは本当だろうかという疑念がくすぶっていました。

今回の1号機のメルトダウン、2号機、3号機のメルトダウンの可能性のニュースは、東電、政府、マスコミが信用に値しないことを明らかにしました。負け戦続きであることを知りながら、勝った、勝ったと言っていた大本営発表とそれにしたがった当時のメディアと同じです。兵隊たちは糧食を補給されない戦地に放り出され、満州の開拓民は、関東軍や満州鉄道の人たちがさっさと逃げ出し後、ロシア軍が攻めてくる地域に取り残されました。今回、本当の事態を知らされず避難させられた人たち、また、汚染地域にも関わらず、あの同心円内に入っていなかったために避難していなかった人たちに重なります。(福島にいた保安院の人たちは、いち早く逃げたということが報道されていました。)

戦前から日本の権力の伝統は引き継がれてきたということでしょうか。

高血圧だと言って社長は長期にわたり雲隠れ。電気料金や税金で賠償との枠組みがだいたい決まった時点で事実らしきものを出して、後だしじゃんけんです。過去に何度も危険性が指摘されてきたのに対策を講じず、想定外と言ったり。このような誇りも、責任感も欠如した会社にリスクの高い原子力が任されてきたかと思うと怖いです。

不始末を引き起こし、日本以外の国々にも迷惑をかけ、対応もきちんとできない企業がどうしてここまでかばわれるのか。日本の正義や公正はどうなっているのでしょうか。ホリエモンが有罪なら、東電幹部やそれにつながる政治家や官僚、学者、その他諸々の人々はその百倍くらい有罪です。

既得権を守ることにやっきな人たちが大手を振って通り、異見を封じることが当たり前になっている、この国で、若い人たちが希望を持って生きるのは難しいです。志ある若い人たちは、物事を批判的に見る目を養い、視野を世界に広げて生きることを目指してほしいと思います。


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おうみパーカッションワークショップ 2011年シーズンスタート

去年の好評を得て、今年もおうみパーカッションワークショップが開催されます。滋賀近辺のみなさん、ぜひご参加ください。
子どもも大人も、女も男も、国籍、人種、言葉、立場を越えて、緑の中でパーカッションを叩きます。ストレス発散して、心身ともに軽くなります。

自分の身体で創る楽しみを知ったら、電力消費も落ちっぱなしです。

ご参加、お待ちしてま~す。


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授業を行ないました!

今日は、京都精華大学の授業でお話をしてきました。地球市民論というコースです。

グローバリゼーションについて学ぶコースです。担当の先生は、グローバルな人の移動をを身近に感じてもらおうと、私をお招きくださったのです。

ブラジル移民の歴史に少し触れ、彼らの子孫である日系ブラジル人とその家族が現在、日本に移住していることにつなげました。そこで『ブラジルから来たおじいちゃん』の一部を見てもらい、皆さんから感想や質問等を募りました。さらに、隣の県である滋賀に多数のブラジル人が住んでいること。リーマンショック以降、彼らがどんな問題を抱えているのかなどについてお話し。最後に、それらについて、あなたに何ができるのでしょうかという問いを投げかけました。

加えて、ブラジル人の子どもたちと交流するおうみパーカッション・ワークショップが開かれる事をお知らせし、参加してくださるよう呼びかけました。何人か興味を示してくださる方が!

ほとんど移民の歴史等は知らない人たちがほとんど。滋賀に暮らしていて、ブラジル人を普段見かけるけれど、いったいどういう背景を持って来ているのかは知らなかったという学生さんもいました。彼らに少しでも移民の歴史、今、日本に暮らすブラジル人の背景を知ってもらうことができました。

みんなに積極的にクラスに参加してもらえるよう、座席を円形にし、話の途中にも質問をどしどしはさんだりして、インターアクティブになるよう努めました。こういう機会をどんどん作って、若い人たちに伝えていきたいと思います。来週も別の大学の授業にうかがいます。授業のやり方にも工夫を加えて、より魅力あるものにしていきたいです。


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法政大学ワークショップ記録集

「多文化共生・地球市民形成のためのディアスポラ研究ーあるべき日本の近未来像の提示」の研究プロジェクトの一環として、2010年に法政大学で開かれたワークショップの様子が「2101年度法政大学国際学部「ディアスポラ研究会」ワークショップ記録集」として出版されました。私自身の『ブラジルから来たおじいちゃん』に関連した日本人/ブラジル人ディアスポラの話が、リワント・チロスダルモさんのインドネシア人ディアスポラやウェスリー・ウェンステンさんの沖縄人ディアスポラについてのお話とともにおさめられています。

聴衆の研究者の皆さんからの、興味深いコメントや質問も含められており、当日の刺激的な雰囲気が記憶によみがえります。

関係者の皆さん、ありがとうございました。


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撮影時のエピソードを寄稿

京都で出版されている映画誌『CINÉMA APIED』の最新号7号の「映画の現場から」に「紺野堅一さんと共に歩いた旅」というエッセイを寄稿しています。旅をしながら撮影したドキュメンタリーの裏話、紺野さんとの時間について記しました。ご興味の方は、アピエのウェッブサイトからお求めください。

アピエのホームページ
http://apied.srv7.biz/


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米国調査旅行の収穫

ニューヨーク、ワシントンDC、サンフランシスコに一ヶ月にわたって滞在して、米国インデペンデント・メディアのインフラの調査をしてきました。製作支援、法律相談、配給、基金等々、20人程の人たちに会って、インタビューする旅です。準備をして、インタビュー、それを振り返り、また次のインタビューというわけで、仕事以外ほとんど何もできないハードな、超充実した時間でした。

作り手の側に立ち、常に新しいものを創造しようという意欲に満ちた、映像のサポーターたちに会って、大変なエネルギーを受け取りました。日本とのギャップに改めて驚きました。しかし、とにかく日本の関係者、また、一般の人たちにインデペンデント・メディアの大きな役割を知らせ、それを支援するインフラの構築の必要性を説き、実践することの重要性をさらに深く認識しました。また、良い出会いがあり、メンター、仲間を見つける事ができました。

加えて、今回旅行中に起こった東関東大震災に関するソーシャル・メディアの役割は目覚ましいものがありました。インデペンデント・メディアとソーシャル・メディアは大いに重なっています。メディア漬けとも言える現在の環境の中で、より良い社会を作っていくには、これらをどう生かしていけばよいのか、自分の住む社会から考え、実践していきたいと思います。

これまでの製作、上映をさらに進展させる為にも、インフラ作りへの活動を行なうことを決意しています。この調査の報告の一部を、『シネマ・ジャーナル』に連載しているシリーズに記していきます。興味のある方はぜひ読んでいただければと思います。

My trip to US was extremely hectic and learning. I interviewed 20 persons in independent media infrastructure npo, some of them I already know, others newly introduced by my colleagues. I was made to realize again how well organized the infrastructure for indy media in the States is. And all this was actualized by people’s efforts, not trickled down from somewhere up there.

I now have new mentors, colleagues, and friends to promote global independent media, it seems. I am determined to keep on informing this of Japanese people and creating our own here, although each step might seem very tiny.

I truly thank the interviewees and others for their kindness to share their time, experiences, resources, ideas, and hope.

 

写真上 サンフランシスコのベイエリア・ビデオ・コーリション(BAVC)の受付には、「BAVCの使命は、芸術、教育、テクノロジーを通じて多様なストーリーが語られるようにすることで、社会の変化をインスパイアすることである」と記されている。

写真下、ニューヨーク大学で開かれた、ウィメン・イン・フィルム・テレビジョン・ニューヨーク支部主催の女性のドキュメンタリー作家たちをのシンポジウム。インデペンデントの女性たちがすばらしい作品を作り、活躍している様子を目の当たりにした。


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