寄せられた言葉(アンコール上映@UPLINK)

東京・渋谷のUPLINKでのアンコール上映(2009年9月5日から18日)の際に寄せていただいた言葉をご紹介しています。

こちらからどうぞ
http://amky.org/senhordobrasil/words9.html


ページのトップへ

北九州ビエンナーレ

北九州ビエンナーレに行ってきました。今年は、「移民」がテーマです。門司港にある昔の国鉄九州本社ビルを会場としたアートの展示と小倉にあるSOAPというスペースでのトークや上映などが開かれました。地元のアーティストを中心に組織されたとても面白いイベントでした。

生まれて始めてこの地域に行きました。日本の近代の工業を支えてきた地域です。鉄道、港、倉庫、工場などがありますが、産業の転換の結果、一時の勢いを失っています。今は地域そのものが巨大な歴史博物館のようでもあり、それらを観光資源として活用されています。鉄道ファンの方なら、ドキドキするような駅舎があります!

隣の下関、博多、これらの港からは釜山への船が出ており、また、門司港からは大連にも船が出ています。日本の歴史の中で重要な交通の要所としての役目も果たしてきました。下関とも博多とも異なる文化を持つ門司、小倉は、ダイナミックな文化の交流の中で、他地域としのぎを削りながら自らのアイデンティティを育んできたようにみえました。

また、福岡県はブラジル移民を多数輩出した県でもあります。

このような場所で、『ブラジルから来たおじいちゃん』を見るのはひとしおです。また、今回は、梁英姫監督の『Dear Pyongyang』とともに見る事で、日本近代の「植民地主義」下での人の移動がさらに深く浮き彫りにされ、その中で人がどんな風に生きてきたのかということが際立ちました。いずれの作品も国境を越えた家族、人のつながりの強さを描いており、今後の世界はどんな風になるのか、その流れを大いに感じさせました。

とにかく地元のアーティストを始め、皆さんがとても熱く、志高く、自分たちの場を大切にしながら、世界につながりを求めて、活動されているのがとても印象的でした。

また、宴会も多いに盛り上がっていました!

梁監督とは今回初対面でしたが、お互い大阪出身でニューヨークに暮らしていた事もあるということで、共感するところも多く、またの再会を期して、お別れしました。

「移民」というとても意欲的なテーマを掲げ、ビエンナーレを開かれた北九州の皆さん、毛利さんに感謝です。


ページのトップへ

メディフェス2009に参加して

今回、9月20日から22日まで東京で開かれた、市民メディアの交流会であるメディフェスに行ってきました。

私はNYでドキュメンタリーを作り始めましたが、あちらは映像作りのためのインフラが整っています。資金なども公募で応募できる所がたくさんありました。(もちろん競争が激しくそんな簡単ではありませんが。)インデペンデントの作家の互助組織、メディア・センター、しっかりした配給組織、公共放送の中のインデペンデントの放送枠など、インデペンデントの作り手の私にとって欠くべからざるものがいろいろ揃っていました。

今回、日本で作品を作り、上映活動をしてみて、日本でもインフラを整えていく必要があると感じました。この問題そのものにも関わっていこうと思った次第です。そんなこともあって、今回メディフェスに再び参加しました。幅広い人たちが集まっていて、なかなか面白い会です。今回は、政権交代が行なわれた直後、東京で開かれ、内藤総務副大臣が出席して具体的に今後の方向を話したこともあり、組織化やロビーイングをやろうという意欲に満ちあふれていました。

副大臣も触れ、メディフェスで語られた将来の方向として重要なものを挙げると、

日本版FCC メディアを監督する独立行政委員会 (多様な人たちの意見を反映するように)
デジタル放送に移った後のアナログ放送枠を市民に提供 パブリック・アクセス
市民メディアへの資金を(NHKの受信料の一部、民放の収益の一部から捻出)
市民メディア、公共放送、民放の三元体制
メディア・リテラシー、メディア教育の充実

他には、新聞と放送が系列化されて、ある種の独占状態を作り出しているクロスメディアの問題、NHKをどうするかなどがあります。

いろいろな人がつながって、ロビーをしていくことと、内容とその意義を一般の人たちに知らせることが大切だと思いました。大手メディアは、一般市民にとって重要なメディア関連の情報をあまり報道していません。多くの人々がメディア政策の重要さを知り、より良いシステムを生み出す為の世論を形成し、議会に働きかけていければすばらしいと思います。

実は今回、NYの知り合いである、マーク・ワイスさんを基調講演者としてお招きしました。彼は、アメリカの公共放送にインデペンデント作家のみのドキュメンタリー作品を放映するPOVという画期的なシリーズ(NYに在住中、いつも楽しみに見ていました)を1988年に作りました。(NHKのプライムタイムにインデペンデントのドキュメンタリーを十数週やるような感じです。)彼にどのようにしてそれを可能にしてきたかをお話してもらいました。彼らが最初にやったことは、インデペンデントたちが自らの組織を作って、関連事項に関して議会にロビーをしたことでした。

人種や民族、ジェンダー等々に関わらず多様な人たちの視点を反映するこんな番組枠ができるとずいぶん風通しの良い雰囲気が日本に生まれてくると思います。

英語ですが、POVに興味がある方は、下のリンクをご覧下さい。

http://www.pbs.org/pov/


ページのトップへ

読売新聞「追悼抄」に紺野堅一さんの記事が掲載されました

9月19日(土)読売新聞(夕刊)「追悼抄」に紺野堅一さんの記事が掲載されました。

「『デカセギ』日系人を励まし」(大阪本社社会部 久場俊子)

「映画がおじいちゃんの分身となり、日系ブラジル人への理解が進むことを願っている」と結ばれています。


ページのトップへ

UPLINK アンコール上映 好評の内に終了

ゲストを迎えての最後は、ブラジル音楽研究家のケペル木村さん。ケペルさんは、ブラジルに行き、そのダイナミックで、すべてを受け入れる文化に触れて、その人々と音楽に惚れ込むようになっというブラジル音楽とのなれそめを話されました。そして、今回特別に、レジ袋をこすりあわせてサンバのリズムを作り出し、それにあわせての歌の体験!がありました。短い時間でしたが、みんなでサンバのリズムにのって楽しくひとときを過ごす事ができました。

kepelsan2.JPG

さて、この18日で、2週間のアンーコル上映を終えました。配給ともども、今までのつながりを深めつつ、新しいつながりが築け、今までよりもさらに輪を広げ ることができて、大いに喜んでいます。足を運んでいただいた皆様、また、周りにお声をかけてくださった皆様、ゲストでおいでくださった皆様、本当にありがとうございました。

この上映のゲストとしていらしていただいた宮ヶ迫さんやチェさんという外国にルーツを持つ皆さんとともに、この社会に、あらゆる人々を受け入れる新しい文化空間を作ろうという思いを共有できたこと、とても幸せに思っています。これからも一緒に活動していけたらと願う次第です。


ページのトップへ

多彩なゲストを迎えて 続々

10日は、宮ヶ迫ナンシ理沙さんです。彼女はブラジル生まれの日系三世/ブラジル系一世(こういう言い方であっているのでしょうか)になります。映画の中のファビオ君と似た立場です。

彼女は、ブラジル、ペルー、台湾など、外国にルーツをもつ若者たちが日本でどう育ってきたか、現状はどうかなど、当事者が語るドキュメンタリー『Roots of Many Colors』の監督です。困難な体験等を語る若者たちですが、みんな肩に力が入っていません。彼らが支援者や仲間を見つけつつ困難を克服し、自分なりの場所を見つけたことが映像から感じられます。トークでは作るきっかけや作っている時のお話、また上映してみてどうだったかなどをうかがいました。

当事者が自身で表現することがもっと広まって、いろんな声が響いていけばいいと思ったことでした。先日のチェさんもそうですが、彼女、彼らと一緒に、新たな文化空間を作っていけたらと、頼もしく思いました。

lisa-san.JPG
12日は、群馬県太田市の小学校の国際学級で先生をなさっている小林あけみさんです。経済危機以降の日系の子供たちがどうしているのかをうかがいました。

ひと言で言えば、とても厳しいということです。とてもやせていて、いつも給食を楽しみにしていた、やる気もあって、ようやく九九などの算数の基礎ができかけてきた子が突然学校に来なくなる。日本の他の学校に行っているなら、そちらから連絡が来るのだろうけれど、それもない。いったいその子は今、どこでどうしているのだろうかと先生は語りました。

先生が最後に会場の皆さんに「子どもたちが夢を実現できるように助けてください」とおっしゃられたのが心に突き刺さりました。


ページのトップへ