メディフェス2009に参加して

今回、9月20日から22日まで東京で開かれた、市民メディアの交流会であるメディフェスに行ってきました。

私はNYでドキュメンタリーを作り始めましたが、あちらは映像作りのためのインフラが整っています。資金なども公募で応募できる所がたくさんありました。(もちろん競争が激しくそんな簡単ではありませんが。)インデペンデントの作家の互助組織、メディア・センター、しっかりした配給組織、公共放送の中のインデペンデントの放送枠など、インデペンデントの作り手の私にとって欠くべからざるものがいろいろ揃っていました。

今回、日本で作品を作り、上映活動をしてみて、日本でもインフラを整えていく必要があると感じました。この問題そのものにも関わっていこうと思った次第です。そんなこともあって、今回メディフェスに再び参加しました。幅広い人たちが集まっていて、なかなか面白い会です。今回は、政権交代が行なわれた直後、東京で開かれ、内藤総務副大臣が出席して具体的に今後の方向を話したこともあり、組織化やロビーイングをやろうという意欲に満ちあふれていました。

副大臣も触れ、メディフェスで語られた将来の方向として重要なものを挙げると、

日本版FCC メディアを監督する独立行政委員会 (多様な人たちの意見を反映するように)
デジタル放送に移った後のアナログ放送枠を市民に提供 パブリック・アクセス
市民メディアへの資金を(NHKの受信料の一部、民放の収益の一部から捻出)
市民メディア、公共放送、民放の三元体制
メディア・リテラシー、メディア教育の充実

他には、新聞と放送が系列化されて、ある種の独占状態を作り出しているクロスメディアの問題、NHKをどうするかなどがあります。

いろいろな人がつながって、ロビーをしていくことと、内容とその意義を一般の人たちに知らせることが大切だと思いました。大手メディアは、一般市民にとって重要なメディア関連の情報をあまり報道していません。多くの人々がメディア政策の重要さを知り、より良いシステムを生み出す為の世論を形成し、議会に働きかけていければすばらしいと思います。

実は今回、NYの知り合いである、マーク・ワイスさんを基調講演者としてお招きしました。彼は、アメリカの公共放送にインデペンデント作家のみのドキュメンタリー作品を放映するPOVという画期的なシリーズ(NYに在住中、いつも楽しみに見ていました)を1988年に作りました。(NHKのプライムタイムにインデペンデントのドキュメンタリーを十数週やるような感じです。)彼にどのようにしてそれを可能にしてきたかをお話してもらいました。彼らが最初にやったことは、インデペンデントたちが自らの組織を作って、関連事項に関して議会にロビーをしたことでした。

人種や民族、ジェンダー等々に関わらず多様な人たちの視点を反映するこんな番組枠ができるとずいぶん風通しの良い雰囲気が日本に生まれてくると思います。

英語ですが、POVに興味がある方は、下のリンクをご覧下さい。

http://www.pbs.org/pov/


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読売新聞「追悼抄」に紺野堅一さんの記事が掲載されました

9月19日(土)読売新聞(夕刊)「追悼抄」に紺野堅一さんの記事が掲載されました。

「『デカセギ』日系人を励まし」(大阪本社社会部 久場俊子)

「映画がおじいちゃんの分身となり、日系ブラジル人への理解が進むことを願っている」と結ばれています。


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UPLINK アンコール上映 好評の内に終了

ゲストを迎えての最後は、ブラジル音楽研究家のケペル木村さん。ケペルさんは、ブラジルに行き、そのダイナミックで、すべてを受け入れる文化に触れて、その人々と音楽に惚れ込むようになっというブラジル音楽とのなれそめを話されました。そして、今回特別に、レジ袋をこすりあわせてサンバのリズムを作り出し、それにあわせての歌の体験!がありました。短い時間でしたが、みんなでサンバのリズムにのって楽しくひとときを過ごす事ができました。

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さて、この18日で、2週間のアンーコル上映を終えました。配給ともども、今までのつながりを深めつつ、新しいつながりが築け、今までよりもさらに輪を広げ ることができて、大いに喜んでいます。足を運んでいただいた皆様、また、周りにお声をかけてくださった皆様、ゲストでおいでくださった皆様、本当にありがとうございました。

この上映のゲストとしていらしていただいた宮ヶ迫さんやチェさんという外国にルーツを持つ皆さんとともに、この社会に、あらゆる人々を受け入れる新しい文化空間を作ろうという思いを共有できたこと、とても幸せに思っています。これからも一緒に活動していけたらと願う次第です。


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多彩なゲストを迎えて 続々

10日は、宮ヶ迫ナンシ理沙さんです。彼女はブラジル生まれの日系三世/ブラジル系一世(こういう言い方であっているのでしょうか)になります。映画の中のファビオ君と似た立場です。

彼女は、ブラジル、ペルー、台湾など、外国にルーツをもつ若者たちが日本でどう育ってきたか、現状はどうかなど、当事者が語るドキュメンタリー『Roots of Many Colors』の監督です。困難な体験等を語る若者たちですが、みんな肩に力が入っていません。彼らが支援者や仲間を見つけつつ困難を克服し、自分なりの場所を見つけたことが映像から感じられます。トークでは作るきっかけや作っている時のお話、また上映してみてどうだったかなどをうかがいました。

当事者が自身で表現することがもっと広まって、いろんな声が響いていけばいいと思ったことでした。先日のチェさんもそうですが、彼女、彼らと一緒に、新たな文化空間を作っていけたらと、頼もしく思いました。

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12日は、群馬県太田市の小学校の国際学級で先生をなさっている小林あけみさんです。経済危機以降の日系の子供たちがどうしているのかをうかがいました。

ひと言で言えば、とても厳しいということです。とてもやせていて、いつも給食を楽しみにしていた、やる気もあって、ようやく九九などの算数の基礎ができかけてきた子が突然学校に来なくなる。日本の他の学校に行っているなら、そちらから連絡が来るのだろうけれど、それもない。いったいその子は今、どこでどうしているのだろうかと先生は語りました。

先生が最後に会場の皆さんに「子どもたちが夢を実現できるように助けてください」とおっしゃられたのが心に突き刺さりました。


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多彩なゲストをお迎えして 続

9日、水曜日は、文学者、翻訳家、そして役者、大学の非常勤講師をなさっているチェ・ジンソクさんにおいでいただきました。まだ小さい頃にご両親が韓国から日本にいらして、お兄さんがいらっしゃるということもあり、映画に登場する兄弟の弟であるドグラス君と自分が重なりますとおっしゃいました。

愛くるしいドグラス君ですが、しっかり者のお兄ちゃんのもとにいて、中は混沌としているのです、と指摘なさったのが印象的でした。外国で育つということは、当事者どうしならすぐに理解できるような体験を含んでいるのだということを改めて教えていただきました。横のつながりへの可能性を大いに感じました。また、そういう体験を文学や芸術として広く表現していただきたい。文学者、役者としてのチェさんに期待したい所です。

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また、日本における排外主義の傾向についても、それは草の根だけではなく、国の施策として今回の外国人管理が強化されたことと連動しているという指摘がありました。

格差社会と言われるような状況になって、不安が高まっている時代、どこかに敵を見つないと不安でしようがない、憤懣やるかたないという人たちがいます。格差をなくす方向に社会を動かして行く事はもちろん。私としては、排除するのではなく、つながり広げていくことによって、安心して、より良く生きる形を見いだしたいと思います。国の施策については、外国人だからなどと思っていると、あっという間に自分たちに適用されるのではないでしょうか。外国人だから、女だから、○×だから、私には関係ないなどと思っているといつの間にか、自分のことになっているのが、世の常のようです。

紺野さんの存在のおかげで、新しいつながりが生まれてきて、うれしい限りです。こういう時間を積み重ねつつ、多様な人々に開かれた文化空間を根付かせていきたいものです。

*崔さんが出演する公演のお知らせです。
「棄民サンプル」(野戦之月海筆子)
2009年10/31(土)、11/1(日)、2日(月)、3日(火)、6日(金)、7日(土)、8日(日)、毎晩18:00受付/19:00開演
東京 井の頭公園西園 特設テント

詳細は、http://www.yasennotsuki.com/


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多彩なゲストをお迎えして

9月5日から東京・渋谷UPLINKでの上映が始まって、中盤を過ぎました。 第一週はほとんど毎日と言っていいほど、ゲストトークが目白押し。様々な方においでいただき、実り豊かな時間を過ごすことができました。ゲストの方、見にいらしてくださった皆様、ありがとうございました。

まだ、足を運んでいらっしゃらない方、今日、明日、明後日と残り三回となりました。ぜひ渋谷UPLINKにお越し下さい! 上映は、午後3時からです。

さて、ゲストトーク、6日のノンフィクション・ライターの高橋幸春さんは、大学卒業後、サンパウロの日系新聞で働かれた方、おつれあいも日系の女性です。そんなお立場からのお話で、とても興味深いものがありました。

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特に私が注目したのは、ブラジルに来ているヨーロッパからの移民たちは、その子孫は元の国の国籍を与えられて、ヨーロッパとブラジルを行ったり来たりしているというところでした。距離が近い事などもあるでしょうし、それらの国が二重国籍を認めている事もあるでしょう。こういう存在の人たちは、きっと両国の関係をうんと深めてくれるに違いありません。目から鱗でした。

次の8日は、国際移住機関駐日事務所所長の中山暁夫さんです。難民を含めたグローバルな人の移動に関わる問題解決に携わっておられます。ちょっと聞き慣れない機関なので、そこからお話を始めていただきました。

中山さんのお話で最も印象的だったのは、多様な人々の存在は社会を豊かにするという視点が貫かれている事でした。日本国内の論調は、一般に外国人を厄介者扱いしたり、問題を引き起こす人たちと捉えがち。しかし、そうじゃないんだと。外国出身の人たちは、日本の社会を活性化させ、文化的に豊かにしてくてる存在なのだと中山さんは語られました。

中山さんのさわやかな話術にみんな魅了され、時間もぴったりに終わりました。ちなみに国際移住機関は『ブラジルから来たおじいちゃん』を後援してくださっています。

今回、立場の違う方達のお話を連続してうかがって、移住、ブラジル移民等のことがいろいろな形で見えてきました。象を目の不自由な人たちが触って、それぞれ違うイメージを抱くというたとえ話がありますが、立場が違うということの面白さを感じています。

9日以降は、また、明日に!

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