あけましておめでとうございます

旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は地震、津波、原発事故が起こり、人間と自然の関わりについて深く考えさせられました。個人的にも生活の仕方を変えようといろいろな試みをはじめています。また、国の対応、マスコミ報道に大きな疑問が残りました。

そんなことを考えつつ、『ブラジルから来たおじいちゃん』の上映を続けると同時に、オルターナティブ・メディアのリサーチを進めてきました。今年は『ブラジルから来たおじいちゃん』のDVDを皆さんにお届けすること、新たに教育の場で若い人たちにドキュメンタリーを通して考えることを教えることを新たな仕事としたいと思っています。引き続きオルターナティブメディアの研究、滋賀での撮影を続けます。

厳しい時代に希望を自ら見いだして、ひたむきに生き抜かれた紺野さんの姿が、今年もお手本です。

最後になりましたが、今も避難生活を送られている方たち、被災された方たちの暮らしが少しでも改善される一年となりますように。


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大阪大学での上映

絨毯敷きのフロアに座って授業を受けられる教室はオレンジルームと呼ばれています


今年こそ、風邪を引くまいとがんばっていたのですが、寒さと忙しさが重なった途端にダウンしてしまいました。いつまでも長引く風邪に困惑しつつ、食事を見直し、運動を増やすなど、免疫力を高めることを決意しました。

大阪大学での上映のご報告がすっかり遅くなりました。11月24日、大阪大学のコミュニケーション・デザイン・センターで『ブラジルから来たおじいちゃん』の上映をしていただきました。ここは、学問の世界が専門化されすぎ、現場から離れてしまうのに対して、逆に異なる分野を結びつけながら現場に臨んでいこうという姿勢で、教育研究を行っておられるセンターです。今回の上映も、理科系、文科系の学生さんたちが一緒に受けている「ディスコミュニケーション」の授業の一環として行なわれました。

参加型の授業を行われているだけあって、上映後の質疑応答の際にも多数の学生さんたちが質問をしてくれました。紺野さんはいったい日本とブラジルとどちらに属していると感じていたのか、ブラジル人の子どもたちに対するいじめはあるのかなどの質問が出ました。感想も送っていただきましたので、日を改めて、掲載できればと思います。

新しい学び方を模索されているだけあって、自由な雰囲気があふれ、とても楽しい上映会になりました。特に当日の司会を行なってくださった池田光穂先生が、さすが中米でフィールドワークをなさっていた文化人類学者だけあって、人間味あふれるキャラクターで、集まりをさらに魅力的なものにしていました。

素敵な上映会を企画してくださったジェリー横田先生、池田先生に、とても感謝しています。


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上京して研究会に出席してきました

カトリック教会の外国人支援をフォローしておられる方の発表を聞きました。400年にわたってカトリシズムが広がり、敬虔なカトリック信者が多いフィリピンの人たちの支援の様子でした。その早さ、機動力はさすがです。インフラの強固さはもちろんですが、日頃の熱心な活動もあいまって、震災当初から的確な支援を繰り広げられている様子が分かりました。

発表者はカトリック教会の中でも、彼らが未だにお客様扱いになっていることの問題を指摘されていました。フィリピン人信者と日本人信者の両者に歩み寄るべき点があること、同様の問題が日本社会全体にもあることも提起されました。

先日、日系インドネシア人の教会にうかがった時にも感じたことですが、信仰が人を強くすることを見せつけられました。


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DVD完成間もなく、字幕も刷新

DVD完成に向けて今、デザイナーさん、DVD製作者のみなさんともどもおおわらわで作業中です。今回、字幕を刷新して、より小さく、しかし読みやすくしています。画像がより良く見ていただけるようになることと思います。
デザイナーの奥野さんが、今までのイメージを尊重しつつ、すてきな盤面やメニュー、チャプター画面をデザインしてくださっています。わくわくしてきました。
そろそろ皆様にお知らせのメイルをお届けしなければと思っているところです。


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韓国・ソウル国際女性映画祭のイ・へギョン、ディレクター

先週、数日、駆け足で東京国際女性映画祭に行ってきました。第24回になるこの映画祭、女性監督の作品がたっぷり見ることができる楽しい映画祭です。
韓国、台湾、インド、イスラエル、日本の5カ国からなるアジア女性映画祭のネットワーク各国1作ずつ選ばれた内から最優秀作品に選ばれたのは、タミールの問題を扱ったインドのリーナ・マニメーカライ監督の『死の海』でした。(私は残念ながら見ることができませんでした。)打ち上げのパーティで、審査委員長のソウル女性映画祭のディレクター、イ・へギョンさんが発表と講評をしました。
彼女の話は、きちんと映画の批評をし、困難なテーマで取り組んだ監督を讃え、今後もこのような映画を作り続けることを支援するというものでした。クリティシズムに欠ける日本に新しい風を吹き込んでくれるもので、大感激。直接海外とつながる仕組みができ、東京国際女性映画祭も新たな局面に入りました。困難な中、長い間活動を続けてこられた東京国際女性映画祭の関係者の皆さんのご努力に感謝します。
イさんとは、初めて直接会話を交わしましたが、以前彼女の映画祭で上映された私の作品の題名も記憶していらっしゃいました。私が新しい世界を切り開いているとネットワークの取り組みを評価すると、「そう言ってくださると、やりがいがあるわ」と喜んでくださいました。映画祭や韓国メディア芸術の事情について、いつかお話を詳しくおうかがいしてみたいです。
スペインのフアナ・マシアス監督の『明日のプラン』を泉悦子監督と見ましたが、それぞれ困難を抱える40代の3人の女性たちの数日を交錯させて描いた刺激的な作品でした。女優たちがとても魅力的で、この選び方、また、問題の捉え方も女性監督ならではのもの。女性監督がもっと増えて、こういう映画がどんどん生まれて欲しいと思いました。
良い時間を過ごせた2日間でした。


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3つの画面に映る紺野さんは圧巻でした!

昨日、大阪府吹田市にある大阪学院大学での上映会にうかがいました。こちらはスタディガイドを一緒に作っているステファン・ダルトン先生の教える、留学生と日本人の学生が一緒に授業を受ける国際センターでの上映会です。中国、アメリカ、フィンランド等々、海外からの学生さんたもいて、トランスナショナルな参加者を相手に、英語と日本語のバイリンガルで行なわれました。他の先生たち、一般の方たちもいらしてくださいました。皆さん、上映中、敏感に反応してくださり、楽しんでくださっている様子がわかりました。

上映後の質疑応答では、多くの学生さんたちが手を上げてくれました。フィンランドからやってきた学生からは、ブラジル人の子どもたちの状況は良くなっているのかという質問、中国人学生からは、紺野さんは、戦後どうして日本に戻ってこなかったのか等の質問がありました。質問をしてくれた日本人学生と上映後、お話ししましたが、タイなど海外での学習体験があり、広い視野を身につけている若者で、将来、国際NGOのようなところで働きたいそうです。また、戦後、15歳の時にブラジルに渡られた準一世の方もおいでくださいました。深い色の瞳をした方です。改めてお目にかかり、お話をうかがうことにしました。

ダルトン先生の学生たちは、先の授業でスタディガイドのエッセイを読み、グループワークを行なって、上映に臨みました。日本人学生の中には、上映後に質問に来る人たちもいました。日本人移民のブラジルでの体験はどうだったのか、また、日系ブラジル人の日本での体験はどうなのかというものでした。

日本の大学では上映後、質問が出ないところが多いのをこれまでとても残念に思っていました。しかし、この大学では自ら学ぶことを大切にした授業が行なわれているおかげで、場が自由に発言できる雰囲気に満ち、より多くの学生から質問が出ました。授業形式を変えることによって、日本人の学生たちもより積極的になれることは確かです。

また、多様性を大切にする態度を身につけるには、授業自体もそれに即した形が必要です。それには、先生の言葉を受け身で聴くだけでなく、映像を見て、学生たちが意見を互いに述べあう、多様性を重視した授業形式がふさわしいと思います。

今回の上映での学習は、次の授業でさらに深めるよう計画されています。ダルトン先生が映像を組み入れて、より主体的学習ができるよう、工夫された授業形式のやり方は、今後、ホームページにアップするスタディガイドに反映させていきます。参加型の授業に、映像を活用した授業に関心をお持ちの先生方にぜひ参考にしていただければと思います。

大変すばらしい上映会を開いてくださった、ダルトン先生、大阪学院大学のスタッフ、先生、皆様、ありがとうございました。


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